かつて「怪物」と呼ばれた江川卓が、審判やバッターに与えた独特の印象について語る。ストレートのキレや球の錯覚、試合のテンポの速さなど、江川投手ならではの特徴を審判の視点から紐解く興味深い対談。
- 江川卓と審判の関係――初登板の試合
- 江川卓の球速と体格が生み出す錯覚
- ストレートのキレとホップする感覚
- 江川の投球テンポの速さと試合の進行
- ピッチクロックが不要なほどの投球リズム
- 2軍時代の成績とプロ初登板の裏側
- 江川投手のスランプ経験とフォームの修正
- フォームを見直した恩師・藤田小三氏の指導
- 投球フォームの崩れとその回復方法
- 江川卓のピッチング哲学と自己分析の重要性
動画のまとめ
1. 江川卓と審判の関係――初登板の試合
江川卓のプロ初登板の試合を担当した審判の井野氏が、彼の第一印象を語る。イースタンリーグでの試合では打ち込まれたものの、そのピッチングには既に圧倒的な存在感があった。
2. 江川卓の球速と体格が生み出す錯覚
審判が感じた江川のストレートの特徴は、投球距離が15メートルほどに短く感じられることだった。これは球の速さと江川の体格が生み出す錯覚によるものであり、バッターにとっては圧迫感を伴う投球だった。
3. ストレートのキレとホップする感覚
井野氏は江川のストレートが物理的にはありえないほどホップするように見えたと証言。その要因として、キャッチボールの際に「投げた後、手のひらのパーが見える」独特の投げ方が影響していると語られる。
4. 江川の投球テンポの速さと試合の進行
江川の試合は驚くほどテンポが良く、無駄な時間がなかった。審判たちは「江川の試合は楽だ」と評し、球数が少なく試合時間が短いことで有名だった。
5. ピッチクロックが不要なほどの投球リズム
キャッチャーとサインを合わせる時間が極端に短く、ボールを取った瞬間にすでに振りかぶっていることもあった。そのため、ピッチクロックが導入されてもまったく問題ないレベルの速さだった。
6. 2軍時代の成績とプロ初登板の裏側
江川の2軍成績は意外にも防御率2.49、3勝0敗と安定していた。初登板で打たれたものの、試合を壊すことなく、味方の援護もあり負けなしの成績を残している。
7. 江川投手のスランプ経験とフォームの修正
江川もスランプを経験しており、大学受験期に運動不足で体型が大きく変わったことが原因でフォームを見失った。これにより、自分の投球がわからなくなるほどの深刻な状態に陥った。
8. フォームを見直した恩師・藤田小三氏の指導
法政大学入学後、OBである藤田小三氏の指導を受け、フォームを根本から見直した。キャッチャー出身の藤田氏は、フォームの構造を理論的に説明し、江川は1からやり直すことで本来の投球を取り戻した。
9. 投球フォームの崩れとその回復方法
江川は、藤田氏の指導により走り込みと減量を徹底し、4ヶ月で12kgの減量に成功。その結果、秋のリーグ戦では6勝を挙げ、完全復活を遂げた。
10. 江川卓のピッチング哲学と自己分析の重要性
江川は「フォームが崩れた時は、信頼できる人に相談し、基本に戻ることが大切」と語る。自分自身の投球を客観的に分析し、改善することができるかどうかが、プロで成功するための鍵となる。
全体のまとめ
江川卓の投球は、単なる球速だけでなく、審判やバッターに与える圧迫感や錯覚を利用した独特のスタイルが特徴的だった。彼のストレートは視覚的に短く感じられ、ホップするように見えるなど、他の投手にはない要素を持っていた。
試合のテンポが異常なほど速く、無駄なボールを投げずにストライクゾーンで勝負するスタイルは、審判からも「試合が楽だ」と評されるほどだった。キャッチャーとの意思疎通が完璧だったため、サインを待つ時間すら短縮されていた。
また、江川自身もスランプを経験しており、大学時代にフォームを見失ったことで一時的に投球の感覚を失った。しかし、恩師・藤田小三氏の指導を受け、基本に立ち返ることで見事に復活。プロ入り後もその哲学を貫き、最速のピッチングを実現した。
今回の対談では、江川卓の投球術だけでなく、スランプの乗り越え方や自己分析の重要性についても学ぶことができた。
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